2011年08月13日
虫送りの神事

作物につく害虫を追い払い、五穀豊穣を願う「虫送り」。
この行事が竜王町で行われているということで、取材に行ってきました

今回お邪魔したのは、竜王町岡屋地区

毎年7月16日に行われこの行事は、江戸時代中期ごろ、
「田んぼに大発生したウンカを駆除するために始まった」と
地元在住の前田勇さん。
いったい、虫送りはどのように行われるのか、レポートします

雨の日であろうと

「中止したことはないし、途絶えたことはありません」と胸を張る前田さん。
この行事は、松明に火を付け、その煙で害虫を追い払っていくもの。
岡屋地区の田んぼ道を、山側から琵琶湖側へ(地区の境界線)へと
練り歩いていきます



岡屋地区は、(竜王町の)祖父川の上流から2番目に位置する地区。
上流から虫送りをするということは、追いやられた害虫は下流の集落へと
逃げていく?となりますよね

そのことを質問すると
山中地区(7月15日)→岡屋地区 → 小口地区 → 薬師地区 → 七里地区
へと、同じ日に、上の集落の松明の火が見えると、下の集落の虫送りが始まる
という仕組みになっているらしいです


PM5時前、ぞくぞくと岡屋地区の氏神「勝手神社」に人が集まってきました

しかも、男性ばかり。中にはおじいちゃんやお父さんに連れられて、
小学生もたくさん来ています。よくよく、彼らたちを観察すると、大人
の背丈より大きい松明を運んでいるではありませんか

巨大すぎる

重たそうだ。
こんなに長くないと、火を絶やさずに最後まで練り歩けないと言うこと?
中には、子ども用の小さい松明もチラホラ。
だから、小学生たちは長袖と軍手と、万全装備をしているのだなと気づきました。
この松明は、燃えやすいようにタネギ(菜種殻を乾燥させた)で作られています。
松明を作るコツは、「空気を入れるようにする!!」と地元の方。
稲藁でタネギを縛り、松明の芯には竹を使用するのだとか。
でもよ~くみると、松明を持つところがない

芯の竹がもう少し長ければ持ちやすいのでは?と単純に
思うのですが、どうやって持つのだろう?
そしてPM5時。五穀豊穣を祈願した神事が始まりました。
この宮司さん、竜王町鏡地域唯一の宮司さんだそうです。
(

同日虫送りをする地域は鏡村に属していたのだそうです)
太鼓と鉦の囃子が始まりました

この節に併せながら「サンショウとミソとトウガラシと箸と」と害虫を
追い払う掛け声が響きわたります。虫送りの始まりです。
(


みなさん、巨大松明を抱えて、火を付ける場所まで移動します。
小学生たちは、小さい松明をみると「これ、オレのかもしれへん」と
気合いは充分

親子で参加している方に出会い「はいチーズ


あ、小学生でも大人とおなじサイズの松明を持つのね

関心してしまいました

宮司さん、みなさんが到着する前に一足早く、火を付ける場所へと
向かって行かれました。その手には、行燈が。
この行燈には、神殿から頂いた神聖な「火」が入っており、
この火を使って松明を燃やしていきます

お、小さい子も頑張って松明を運んでいます

その姿を見守るお父さん。この風景、すごくステキです。
この松明ですが、最低でも30束はあるそうです。
その理由は、15班に分かれる岡屋地区では、最低2束班で作らなくては
ならない約束事があります。そのため30束は揃います。
そして、火を着火する場所へ到着

「火」が消えないように、稲藁の固まりに火が灯されました。
さ、いよいよ本番。
松明に火をつけて、小口地区との境界線まで練り歩きます


Posted by 木野環境 at 10:00│Comments(0)
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