琵琶湖のヨシ今昔
かつて人々の生活と文化に深い関わりをもっていた植物・ヨシ
すだれ、漁具(琵琶湖のエリ)、燃料、紙、肥料・・・
近江八幡市円山町で江戸時代から代々ヨシ問屋を営んでこられた西川嘉右衛門商店の17代当主・西川嘉廣さんにお話をうかがいました。
西川さんはご自宅に私設のヨシ博物館を開いて、ヨシの普及啓発に努めておられます。
円山町の水辺
ここのヨシ原の美しさは折り紙付き
2006年(平成18年)文部科学省によって
重要文化的景観の栄えある
第1号に選定されました
琵琶湖の周りにはヨシの産地がいくつかあり、生産の仕方がそれぞれ違うところもありますが、
例として円山町のヨシ歳時記を挙げます。
刈り初め
12月の初子の日に、初刈りしたヨシ三束を三脚にして立てます
本格的なヨシ刈りは1月~2月にかけてします。
今も近隣農家が刈り子さんとなり、手鎌で刈り取りをしています
なかなか重労働だそうで・・・
良質のヨシ生産や、ヨシの水質浄化作用を発揮させるためにはこのヨシ刈りが不可欠です
ヨシ刈りの季節が終わると
ヨシ地焼きをします。ヨシ原を焼くのです
この灰がヨシの肥料になるんですね
5月中旬にヨシの選別を終えて倉庫に収める
ヨシ仕舞いでサイクルが終わります
しかし、ヨシ群落は開発や干拓などで半減し、また、プラスチック製品の普及など生活様式の変化のためヨシの利用も激減しました
産業に関わる人たちも高齢化し、技術の継承が危ぶまれています
やっと近年になってヨシの価値が見直されてきました
西川さんがおっしゃるには
三方ヨシ
水質浄化作用 なんと水中のリンや窒素を吸い上げて湖の富栄養化を防止します
美しい景観 日本は古来
豊葦原瑞穂の国と呼ばれました
美しいヨシ原がたくさんあるすばらしい風景が目に浮かぶ名前です
生態系保全 鳥や魚などの生き物の貴重な生息地です
ボランティアが刈った
ヨシで腐葉土を作って米の栽培をしたり
あずま屋の外壁にヨシを用いたりといったヨシの新しい利用方法も模索されています
ヨシを壁材に用いたあずま屋の自然な風合い
(NPO碧いびわ湖・株式会社ラーゴ提供)
akiko
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